ぶんぶん杯~新旧旧神復活祭~解体新書② デーモンハンター編
お世話になっております。
ぶんぶん杯解体新書第2弾ということで、今回はデーモンハンターのデッキを考えていきたいと思います。
前回の締めにもお伝えした通り、今回は「現在流行りのアーキタイプを軸としたデッキ構築」「クラスレジェンドを軸としたデッキ構築」「旧神を軸としたデッキ構築」の3つの視点から、ぶんぶん杯でどんなデッキが使えそうなのかを見つめていきましょう。
現在流行りのアーキタイプを軸としたデッキ構築
現在、スタンダードのデーモンハンターには以下のアーキタイプが存在します。
では、OTKを除いたアーキタイプを上から順にみていきましょう。
魂の欠片デーモンハンター
現在の《魂の欠片》デーモンハンター(以下欠片デーモンハンター)は、《イルギノス》を使用したOTKとのハイブリッドを除くと、上のようなシナジーをフル搭載したいわゆる【純正欠片】と下のような盤面を取る構築に寄せた【テンポ型】に分かれているようです。【テンポ型】はメタカードをいくつか採用しているため、結構構築に自由が効くようです。
どちらも《二連斬》《混沌一閃》《魂石細工師》のような打点の出るカードでガンガン押していくアーキタイプであり、デーモンハンターはコストの軽い沈黙も持っているクラスなため、比較的ぶんぶん杯でも顔を削りきれそうな気がします。
アグロデーモンハンター
現在のアグロデーモンハンターは、上のようなドローソースを《軽業》に頼った超軽量級構築【ZOO型】と、《伝承守護者ポルケルト》と《グルダンの髑髏》でアグロとは思えない爆発力を産み出す【髑髏型】に分かれているようです。 どちらもナーフ後《ドレッドロード・バイト》《貪欲な読書家》(+ポルケルト)の弱体化により鳴りを潜めたアーキタイプではありましたが、環境を定義している進化シャーマンの弱点がアグロであるという点から、また息を吹き返してきているようです。
トークンデーモンハンター
デーモンハンターのアーキタイプの中では最も影の薄いトークンデーモンハンターですが、探したところ上のような《血の伝令》《ネズランダマス》を使用した骨太なタイプと、下のようにとにかくトークン生成カードを採用した横並べタイプがあるようです。僕自身トークンデーモンハンターを使用したことはないので詳しいことはわかりませんが、HSReplayで勝率の高いデッキ上から2つを並べているので間違いはないと思います。下のデッキタイプは、見覚えのあるクソコンボセットを採用しているのでぶんぶん杯との親和性は高そうです。
スクロマンスのレジェンドを軸としたデッキ構築
デーモンハンターのスクロマンスレジェンドをおさらいすると、以下の通りです。
※《エースハンター・クリーン》の採用されているデッキはハンターのみ
前回も言ったとおり、この2つは使い物にならないとは言わないまでも、レジェンドの風格ではありません。《エースハンター・クリーン》はトークンデーモンハンターでワンチャンス無くはないといった感じですが、《最優秀生徒ステリーナ》は汎用性がウリな分《伝承守護者ポルケルト》に勝てる部分が一切ありません。
《社会心霊学者マリシア》は、欠片デーモンハンターでしか使用できませんが、盤面構築能力が高く基本的にいつ出しても強いことから、欠片デーモンハンターを組む理由になってくると思います。ハイランダーなので欠片を埋められない人は握るのをやめましょう。
旧神を軸としたデッキ構築
旧神を考える前に、最初に断っておきたいのですが、僕が目指すのはあくまでデッキの最適化であり、明らかにカードパワーの低いカードを無理やり介護することではありません。何が言いたいのかというと、この項では基本的に《クトゥーン》の考察を省き、また差別化ができる状態でなければ《希望の終焉ヨグ=サロン》の考察も行いません。
《クトゥーン》は強化パーツがそもそも弱く、また強化パーツが1枚ずつしか入れられない関係上、どうしてもサイズの上り幅が小さくなりがちです。
《希望の終焉ヨグ=サロン》は、新しい《運命の支配者ヨグ=サロン》と比べて下位互換というわけではありませんが(10回呪文を唱えなくても良い、盤面を取るだけじゃ勝てない本当にどうしようもない窮地も救ってくれる可能性があるetc...)、基本的に《運命の支配者ヨグ=サロン》の方がプレイアブルだと思っています(新ヨグの方が明らかにメリット効果の出る確率が高い)。そのため、オールスペルで固めるなどの特異な構築にしない限り、《希望の終焉ヨグ=サロン》は使用するに値しないと考えます。
とは言え、とにかくスペル使いまくって後はお願いヨグ=サロンって運否天賦をやりたい方を否定するではありませんのであしからず。
まずは採用が検討できそうな旧神から。
粉砕されしクトゥーン
デーモンハンターは《軽業》《霊視力》《グルダンの髑髏》などドローが非常に得意なクラスであり、特に《グルダンの髑髏》でカードのマナコストを下げることで、いち早くクトゥーンの完成が期待できます。特に《伝承守護者ポルケルト》でデッキをひっくり返してからの《グルダンの髑髏》から得られるバリューは驚異的であり、またコストの低い魂の欠片とも相性が良いです。生命奪取や魂の欠片による回復も得意であり、若干層の薄いコントロール用のカードもクトゥーンのパーツで補えるため、相性は良いと言えるでしょう。目指すところは《イルギノス》の代わりにこのカードでとどめを刺すOTKデッキというのが、一番雰囲気としては近いでしょうか?
運命の支配者ヨグ=サロン
《運命の支配者ヨグ=サロン》はその派手な効果とは裏腹に、非常にマイルドなフィニッシャーです。ここで言うマイルドは「デッキ構築を歪ませずに採用できる」と言うことです。特にデーモンハンターは《二連斬》で呪文の水増しが可能であり、またカードプールが少ないためワイルド環境でも《ワンド職人》《ヴァルペラの悪党》を強く使うことができます。プールが狭く呪文の質が高いため、ハイランダーでもパワーを落とさず呪文を10回使えるでしょう。そしてここからが一番の推しポイントなんですけど、デーモンハンターには《グルダンの髑髏》と、自分を無敵にする呪文が存在します。これにより、ヨグ=サロンと無敵呪文を同時に使うことができます。
一部の検証界隈で有名なコンボではありますが、ヨグ=サロンの一発芸である《焙り焼きロッド》が出た場合、自身が無敵なら相手がアイスブロックを張っていても確実にヨグ側が勝ちます。5%とはいえ、エンタメと実用性を兼ね備えた良いコンボだと思います。単体で何もしない《残像》まで入れるかは怪しいですが。
続いて、ちょっと微妙かなって思う旧神の残念な部分の解説。
頽廃させしものン=ゾス
カードプールの少なさが仇となったパターンです。クラス固有の強い断末魔が《フェルの召喚師》《コイルファングの将軍》くらいしか居らず、他のクラスと比べて差別化しづらいです。
深き淵の神ン=ゾス
こちらもカードプールの少なさが仇となっています。悪魔は粒ぞろいですが、クラス固有のドラゴン、エレメンタル、マーロックは1種類ずつのみ(ドラゴンはネズランダマス:使用不可)、獣に至っては0です。切り札としてのスペックを求めるにはもう一歩と言った感じでしょうか。
放たれし激昂ヤシャラージュ
デーモンハンターは実は結構重めの悪魔を貰っているので、出せさえすれば十分強いです。しかし、マナ加速や踏み倒し手段がデーモンハンターにはあまり備わっていません。また、ビッグデーモンハンターはミニオンでコストを下げたり後続を発見したりして戦うので、はずれを引く確率もそれだけ高くなりそうです。
背徳の魔手ヤシャラージュ
このミニオンを使う上で重要だと思う点は2つ、【クラスカードで強い変妖カードを持っているか】と【《カーニバルのピエロ》を無理なく変妖できるか】だと思っています。デーモンハンターの変妖カードは3/3/6挑発・生命奪取の悪魔と3/4/3で武器になるエレメンタルです。弱くはありませんが、ヤシャラージュを採用して回収したいと思う性能ではありません。また、デーモンハンターのカードプールでは《カーニバルのピエロ》はおろか《怪力男》の変妖さえ苦労しそうです。
吉田が作るぶんぶん杯のデーモンハンターデッキ
今までの情報を踏まえて、僕がもしデーモンハンターでぶんぶん杯に出場するならどんなデッキを組むか考えてみました。
アグロ+魂の欠片デーモンハンター
旧神を使用せず、とにかく相手の顔を削ることを目指した構成です。ワイルド枠は以下の5枚。
見覚えのあるものから誰だこいつ枠まで様々ですね。《菌術師》と《回廊漁り虫》だけで握りたくなるハースストーンおじいちゃんも一定数いるんじゃないでしょうか?
ワイルドで暴れている《下っ端従騎士》もアリだとは思いますが、僕は基本的にケツのでかいミニオンが好きなので2/2/4を採用しました。
回してみたところ、スタンダードのアグロデーモンハンター程軽くはないので、アグロというにはややもっさりした印象を受けました。が、パワーは十分高かったです。後は、魂の欠片を埋めるカードが2枚しかないので、《魂石細工師》がたまに腐ります。
このデッキの一番いいところは、とにかく安いところです。旧神も必要ありませんし、《エースハンター・クリーン》も無くても全然いいくらいです。《冷たき影の紡ぎ手》でも入れておけば形になります。あまり資産の無い方には非常におすすめです。
魂の欠片+《粉砕されしクトゥーン》デーモンハンター
魂の欠片シナジーをフル投入し、先ほどのアグロとは打って変わって《粉砕されしクトゥーン》を出すまでひたすら耐え忍ぶデッキです。ワイルド枠は以下の5枚。
ドロー!回復!装甲!って感じのワイルドカードを連れてきました。ワイルドはたくさん使いたいので《装甲虫》を採用していますが、ドローを優先するなら《初級エンジニア》、除去を優先するなら《爆発ヒツジ》なども視野に入るかと思います。デッキが全体的に重いため、《グルダンの髑髏》は普通の3ドローくらいの感覚で使った方がいいかもしれません。《斬舞》の種が少ないため、打点アップのカードは雑に切ると痛い目に合うと思います。回した感じは、守りに徹するとはいえデーモンハンターなので、《粉砕されしクトゥーン》を使わずに決められる試合もいくつかありました。あまり考えることがないので、練習時間の無い方におすすめです。
トークン+《運命の支配者ヨグ=サロン》デーモンハンター
最後は《運命の支配者ヨグ=サロン》を軸としたトークンデーモンハンターを紹介します。2種類のコンボが入っています。ワイルド枠は以下の4枚。
トークンデーモンハンターの改良方法がマジでよくわかんなかったです。《ネズランダマス》が存在しないため、デッキ自体のパワーも低めでした。2種類のコンボとは《ラススケール・ナーガ》+《下積み芸人》+《ネルビアンの説凶師》+《火葬のオーラ》でのワンショットと、先ほど述べた《容赦なき追撃》+《運命の支配者ヨグ=サロン》です。1つ目のコンボは《ネルビアンの説凶師》が《笑顔の相棒》でもなりたちます。ただ、ワイルド枠がもったいなかったので突っ込みました。《グルダンの髑髏》依存なうえ、その髑髏も1枚しかないため、かなり厳しい構築だと思います。
ただ、《回廊漁り虫》のコストの下がりやすさは類を見ない速度ですし、《菌術師》とのコンボもただただ強かったので、やれないことはないと思います。
最後に
デーモンハンターはレジェンドが貧弱な上にワイルドのクラスカードが存在しないため、かなり幅の狭い構築を迫られました。しかし、特にアグロデーモンハンターは過去の中立に優秀な生物が数多く存在しますし、回してみて強いと思えるデッキでした。
必要なレジェンド・エピックもそこまでなく、コモンやレアでもカードパワーは折り紙付きなので、特に資産の無い方にお勧めのクラスと言えます。